ここからの呼吸法は気功呼吸法ではなく、自然呼吸法を行います。ここでの太極拳の目指すところは、車でいえば、いよいよ車は動きだし、本来の素晴らしい自分を思い出すという目的地へ走り出すレベルです。
子供クラスは小学校の5年生より実施します。5年生までは、レベル3まで繰り返し練習し、心身育成と気と呼吸の調整を徹底的に習得します。児童の場合は、ほとんどが無意識が強く働く時期です。本来の素晴らしい自分からあまり離れていない時期ですので、そのままの状態を心身と環境の状態を健全に保つことで十分です。
大人の場合は、大太極(存在する全てのもの・森羅万象・宇宙)と小太極(自分の身心)の一体感を太極拳で得る事のできるレベルです。レベル3までの太極拳がほぼ無意識で動くようになり、魂(太極)の感動を感じられるようになるまで指導します。この世の中(社会など)での自己のあり方の完成とも言われるレベルです。相対性世界=陰陽世界を理解します。世の中に起こる問題を全て心(心意)で解決することが出来るようになります。健康で、物事に動じない、よく言われる胆力というものを育てます。胆力は本来人間が持っているものですが、その使い方を知ることがこの段階で、太極拳でその道理と感覚を感性で習得します。
太極拳の動き呼吸、気の総体的な意味を、ここでは陰陽論に置き換えます。ここで言う陰陽論とは難しい陰陽学ではなく、実際の生活や世の中の現象、心の中の動きに対する考え方です。この考え方を意識して、太極拳の中で実行すると、その意識は気と呼吸と体の動きに合わせ、無意識層に浸透していきます。意識と無意識を一致させる動作です。ここでは、ユングなどの心理学で証明されている理論を応用しています。考え方は、陰陽学もそうですが、あらゆる宗教、アインシュタインの相対性理論などの物理学などに流れ普遍的概念を太極拳の動きの中に実現したものです。
人間の奥底にある、本当の無意識(生まれながら全ての存在と平和に協調して反映し、幸福に生きていくためのDNAによって引き継がれた人間が素粒子であった時代からのプログラム:自己)に合った意識で思考し心気体を精神の奥底から動かすことの感動を経験することで、その喜びは幸福感と一致することの証明を自分で確信を持つことにねらいがあります。
これは、実際に太極拳をその様な思考で実施したときの感動と幸福感によって個人個人が得るものです。
その実感を得た後は、新しく作られた無意識(この世に生まれ社会に接していくことで、新しく生まれた条件、個性の元となるものでユングは自我と呼んでいます)と一体となったとき(ユングはこれを自己完成とと呼んでいます)その一体の姿が太極なのです。
そして、深層の無意識は完全に宇宙の全てと繋がっている意識ですので、ここで、完全に全ての一体であり、その一部分であることを認識します。
陰陽は相対性です。自己は集合的なもので陽、自我は個人的なもので陰、その両方とも存在という光、すなわち太極なのです。
例えて言うと、太極は太陽の光のようなものであり、その日陰が陰、その日向が陽であるだけで、陰を作るものがなければ陰もすぐに日向になり、日向も陰を作るものが現れれば、日陰になります。その陰、日向を作るものを知っていればどの様にも出来るし、又、それをどうしようとも思いません。自分自身は光そのものであることを知ったとき、対人関係である場合は、相手が陰になろうが日向になろうが、全く気になりません。同じように光を注ぐことが出来ます。
太極拳でこの陰陽を演武し、その陰陽は自らの魂のようなもので無意識に動かされている感覚を得ることが出来ます。その魂が太極です。
太極拳は魂で演武する陰陽の包括感です。魂が清らかで有れば、陰陽ももたらす場らしいと実感でき、対人関係を含めあらゆる事象の陰陽は全て自分と同じ魂から発せられているのを実感できます。この時、対人や自然との関係、自分の体や心との関係、精神との関係、あらゆるものとの関係全てが、愛おしくて慈しむ存在であると実感できます。
このレベルからの太極拳を演武する場合は一人で行われることをお勧めします。
全員で行う場合は同じレベルの人と行います。全員で行う演武は意味があります。レベル3までは、意識的に他の人と会わせて動こうとする、集合意識の訓練です。全員で自己完成を目指すことを目的にしています。レベル2からは、もっと深い部分で繋がります。深層意識です。全てのものとの一体感で繋がる意識で、人間もその一つでしか有りません。レベル2でも意識的に思考するので同じレベルの人と行うことが出来ます。
レベル1になると、全くの無での演武となり、そのレベルでもし目を閉じて一緒に行うことが出来、一緒に終わることが出来れば、完全に繋がった状態です。
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