「顕在的ストレス」と「潜在的ストレス」の大きな違い。

「顕在的ストレス」と「潜在的ストレス」の大きな違い。

引用元: こころとからだの関係性(心身相関) » Blog Archive » 「顕在的ストレス」と「潜在的ストレス」の大きな違い。.

先日、日経新聞2010年2月7日のほどほど健康術のコラムで、「ストレスと寿命は無関係?」という興味深い内容が、新潟大学教授 岡田正彦氏によって掲載されていた。
その内容を抜粋させていただく。

『世の中の研究者たちは、さまざまな工夫を凝らして、ストレスが健康に与える影響を調べている。
例えば、米国には2000人近い人々を対象に、ストレスの原因となりうる日常の諸事について質問し、20年をかけて健康状態を追跡したという調査がある。結果は、ストレスがいくら強くても寿命には影響はないというものだった。
昔から、強いストレスがあると、がんになりやすいともいわれてきた。この点を確かめようと、10万人もの人々を追跡した研究が米国になる。協力したのは看護師たち、対象は乳がん。
この調査でユニークなのはストレスの判定法だ。調査項目を「仕事のきつさ」と「職場の雰囲気」の二面に分けて、ストレスの程度を数字にした。
確かに、仕事はきつくとも周囲の理解があれば精神的なストレスは少なく、逆に、仕事は軽くても嫌な上司がいたりすればストレスも大きいに違いない。
「ストレス」の程度と乳がんの発生は無関係」ということが分かった。』

この記事を読んで、単純にストレスは病気に関係しないのだと思わないでほしい。しかし、この大規模な調査結果はなるほどとうなづける。

なぜかというと、このようにアンケートで数値的に評価された「ストレス」は、頭で感じているストレスで「顕在的なストレス」である。理性的で表在的なストレスである。

一方、心身条件反射療法で検査しているストレスのほとんどは、「潜在的なストレス」で、頭で感じるストレスではなく身体で感じる深層的なストレスなのである。

つまり、このような意識的ストレスは心理的アンケート調査にはで表せられない隠れたストレスともいえるだろう。

普段ほとんどストレスと感じていない内容で、検査の後になるほどとうなずける程度で、普段はほとんど意識には上がってこない。

たとえ頭で感じていることでストレス反応がでても、そのストレスの本質は不明瞭でモヤモヤしていること多く、潜在的なストレスに関連していることが多い。よって意識で明確なストレスはほとんど身体には影響を及ぼしていないという反応がでる。

言い換えると、頭で考える理性と身体で感じる感性とが離れすぎているがゆえに「がん」などの症状を引き起こすといっても過言ではないだろう。だから、このような潜在的ストレスは、意識上で評価するアンケートには上がってこない。

がんの患者さんに限らず、治りにくい症状の患者さんの場合、「理性」と[感性(本能)]、あるいは「建て前」と「本音」がかけ離れ過ぎている場合が多いように臨床的には感じる。

この距離を縮めることができれば、がん症状も改善方向へと向かうが、この距離を縮めることができなければ症状の改善は望めないと臨床的には感じる。

がんに限らず、様々な症状の本質的な原因は「潜在的なストレス」であり、心理的アンケートでも表にはでないストレスであるということを多くの人に知ってもらいたい。

将来、脳認知科学の分野が進歩すれば、このような潜在的ストレスと病気の関係性が科学的に証明される日もそれほど遠くはないのかもしれない。

 

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