i. <通達位>とは、唯識の真理が本当に証り、対象化が崩壊し、自分自身が<空>の真実になる段階である。→自分にかえること。
ii. 自分が自分を超え、自分でなくなる。自分でなくなりながら、しかも自分となる。
iii. <三界唯心><万法唯識>は、特に認識面にポットを当てた空の境説である。
iv. 自分に対して一番愚なのは、自分が見えず、自分を誇大視してそれを実体化して固執してしまう<末那識>である。
v. <真如>…そのまま、ありのまま、という意味を持つ→本当の自分
vi. 対象化しないで親証する働きを<根本無分別智>という。
vii. <無分別智>とは、真理を親証(自分の空なる真相が証る)することであり、見えなかった真実が見えてくる智慧の働きである。
viii. <無分別智>は五相を離れている。
1) 無作意を離れている。
(a) 修行によって獲得される物であるということ。
2) 尋有伺以上の境地を離れている
(a) 無尋唯伺地以上
3) 想受の滅した寂静を離れている。
4) 物質的性質を離れている。
5) 真実を計度する種々の相を離れている。
ix. 八識の中で<通達位>で変わるのは、<第六意識>と<第七末那識>である。
1) <第六意識>が<妙観察智〔みょうがんざつち〕>に、<第七末那識>が<平等性智〔びょうどうしょうち〕>になる。
2) <第六意識>が透徹してくると、<第七末那識>が真理を観、万物を平等に観る智慧が開けてくる。
x. <通達位>は、<見道><極喜地><初歓喜地>ともいう。
xi. <通達位>は、<資糧位><加行位>とは根本的に次元が違う。
1) <資糧位><加行位>は、自我中心的、対象的認識。
2) <通達位>は、<空なる自己>世間→出世間、有漏→無漏、凡夫→聖者への段階。
xii. <通達位>には、<根本智〔こんぽんち〕>と<後得智〔ごとくち〕>がある。
1) <根本智>は、真如と一体になる智慧である。
2) <後得智>は、現実を認識し自覚することである。
3) どちらも<無分別智>の二面である。