運動をすると若返りの力が出てくる。

■身体の若返り

 運動をすると筋肉や骨の細胞が破壊されて、その再生が必要となります。この体の再生の必要から、成長ホルモンが分泌されます。このように、成長ホルモンは、運動の後に多く分泌されます。それは運動のための骨や筋肉の修復に使われ、その成長ホルモンは多くの臓器にも新陳代謝を促し、若返りの力を生みだします。

しかしながら、ハードな運動によって筋肉が大量に付くと、男性ホルモンがたくさん分泌されます。男性ホルモンの過剰な分泌による副作用は多く知られており、中年を過ぎると注意が必要です。

成長ホルモンの正常な分泌のための運動はあくまで適度に、太極拳のように身体を動かしていて「気持ちがいい」と思える程度に行うのが適しています。

姿勢を正し、脊柱の歪みをなくすと、成長ホルモンの分泌が促進されることも明らかになっていますので、太極拳などは正に最適だといえます。

このように、 老化を防ぐためには、最適な運動が必要なのです。

以上のように、筋肉は、使わないと成長ホルモンが分泌されないので、どんどんと萎縮してしまうことになります。宇宙飛行士や寝たきりの病人の筋肉は衰えます。

運動をすれば代謝能力が上がり、血流が良くなります。その結果、抗酸化物質も細胞内に取り込まれます。過激な運動はフリーラジカルを発生させて逆効果ですが、適度な運動は不可欠なのです。

■肌の若返り

運動により、骨が強化されるときには骨の基質中のコラーゲンの合成も盛んになります。

コラーゲンの合成が盛んになると、骨や腱だけでなく、皮膚の柔軟性が増すという報告があります。

適度なスポーツによる適度な肉体的ストレスによって、骨や筋肉の再生が成長ホルモンにより活発化します。同時に肌も活発に再生され、輝きを増すのです。

皮膚は体の中で一番分解・再生のスピードが速いところです。皮膚は身体を外部から守る最前線ですから、細胞の入れ替わりも激しいのです。ところが、年齢とともに成長ホルモンの分泌も、コラーゲンの生成能力も落ちていきます。

最近は肌の若返りのために、コラーゲンを経口摂取するそうですが、経口摂取したコラーゲンは胃腸で分解・吸収されるため、ほとんど意味が無いそうです。

従って肌の若返りには、適度な運動と、リラックス、十分な睡眠と、アルギニンを含んだバランスの良い食事で、成長ホルモンの正常な分泌によって、骨が強化されるときのコラーゲンの合成を盛んにすることが、最も効果的であることがわかります。

太極拳のようなゆるやかな武術運動は、独特の動きで適度にインナーマッスルに圧力を加え、骨や筋が強化される事が知られています。その結果、細胞を新たに生まれ変わらせる働きをする成長ホルモンの分泌が促進されるのです。

■太極拳のすすめ

太極拳はゆっくりと粘らせて動くことで、骨とインナーマッスルに負荷を与えます。反動は一切利用せずに体の重心の移動に従って動きます。そうする事によって腱や靭帯に負担を掛けず、骨とインナーマッスルだけに負荷をかけることができます。そうすると正常に成長ホルモンが分泌されるのです。

やり方としては、山を登って下るように陰陽をつけて行う事が大切です。もちろん呼吸も伴いますが、意識はしない方がいいそうです。負荷の感覚を受けながら、気持ちよく楽しく行うのがコツです。

時間は、10分~30分程度でよく、週に2・3回程度行うだけでも効果があります。

ゆっくりとした動作でインナーマッスルに力を加え続けることによって、インナーマッスルは適度にゆるやかに乳酸を発生します。

そのため、乳酸が成長ホルモンの分泌を促すことによって、体脂肪が分解されやすくなるのです。太極拳の負荷は自分の体重を使った自然な負荷ですので、体に無理をかけることもありません。

■加圧トレーニング

腕と脚の付け根に専用の圧力ベルトを用いて圧を加え、血液の流れが少ない状態を一時的につくる「加圧トレーニング」というものがあります。

成長ホルモンの分泌が増えて、脂肪を燃焼させたり、肌の弾力を高めたりするなど、ダイエットやアンチエイジングの効果があるということで多くの芸能人などに最近は人気急上昇です。

このように、すっかり、有名になってしまった「加圧トレーニング」ですが、血流を意図的に止めて無理な運動をすることで、一気に新生血管の量が増えて筋肉量が短時間で増えるというメカニズムなのです。

しかしながら、内科的には身体に無理な状態を作ることが、年をとってから体がガタガタになったり、血栓や癌の悪化の問題や、免疫低下など多くの問題を含んでいるようです。

人間の体は頭で考えるようには、都合良くは出来ていないということです。

その上、加圧トレーニングは、脳に間違った信号を意図的に送り続けることで無理矢理つけている筋肉ですので、非常に落ちやすいとも言われています。

「極端な事をやれば、極端に非凡な結果が返ってくる。」ということですね。

又やっかいなことに、運動をすると必ず必要の無い活性酸素が大量に発生します。活性酸素の害は、あらゆる病の引き金になっているということが近年分かって来ています。

加圧トレーニングのような、極端に負荷をかけるようなトレーニングをやれば、おそらく通常のトレーニングよりも大量の活性酸素が短時間に出てくることは容易に想像がつきます。

 

 このように人間の成長や老化もそれなりの理由があって、とても複雑な科学や医学で完全に解明できない仕組みで営まれているわけですから、できるだけ素晴らしい人間の元々持っている機能を使って、健康な成長と老化を維持したいものです。

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