ビートたけし「この時代が抱える問題の原因はプライバシー」(NEWSポストセブン) – エキサイトニュース

プライバシーとは、見られたくない自分。自分を見られたくないと自分で思う。見られるというのは自分の思考で考えている内での、人から見られるという行為であるから、結局は自分が見たくない自分である。

まず自分が自分を受け入れることができないときから、人は生を恨み始める。自殺大国日本の根本は、たけしさんが言うようにここにある。

今私たちは、プライバシーというものの根幹を見つめ直し、個人情報保護法などにある、その憂いの根幹を見いだして、根本的な自己受容に目覚めていかないと,いよいよ日本も危なくなってくる。

影響力のある有名人がこのような波紋を投げかけていくことは素晴らしいことである。

『メルマガNEWSポストセブン』では、ビートたけし、櫻井よしこ、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子など、様々な分野の論客が『今週のオピニオン』と題して、毎号書き下ろしの時事批評を寄稿する。3月30日に配信された最新号9号では、ビートたけしが登場。現代の「プライバシー」について持論を展開する。
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たぶん、今の世の中は「プライバシー」と「豊かさ」のバランスがおかしくなってるんだと思う。オイラがガキの頃なんて、近所の家がみんなビンボーで、そこらで殴り合ったり、とんでもないことが起こってたもんだけどさ。だけど、どこの家もあたりから家の中がまる見えでね。垣根がある家なんて珍しかったぐらいだし、玄関はドアどころか引き戸で、たいていカギもかけてなくてさ。
でもその分、近所で助け合おうって気持ちがあった。ガキが悪さすりゃ近所のカミナリ親父が怒るし、困ってる家がありゃ、近所のオバサンがそっと差し入れてやったりさ。子育てってもんを地域社会全体でできる仕組みが自然とできていたんだよ。
でも今はどうだい。どんなに安い家賃の家だって、たいてい分厚いドアにしっかりしたカギがついてる。インターホンだってあるだろ。たいして豪華な物件じゃなくたって、当たり前のようにマンションの玄関にオートロックがついてたりするしね。オイラだって、隣の家に住んでる人が誰なのかなんて、もうわかりゃしないからね。
で、そのプライバシーが守られた家の中に住んでるのがどんな人かっていうと、意外に貧しかったり、トラブルを抱えててどこにも相談相手がいなかったりする場合が多いのが現代なんだよ。
そうなると、もう外からはどうにもできねェもんな。ドアを蹴破って助けようったって、「アンタには関係ない」っていわれたらと思うと、やっぱり何もできないって話になっちまう。「昔はよかった」なんていうつもりはサラサラないけど、この時代のすべての問題は、ここに集約されてる気がするよな。虐待に、孤独死、引きこもり……。

引用元: ビートたけし「この時代が抱える問題の原因はプライバシー」(NEWSポストセブン) – エキサイトニュース.