太極拳の易骨行でグルコサミンを増やすと寿命が延びる可能性

2014年4月9日に、ネイチャー紙に掲載された論文により、天然において貝の殻や、動物の骨および骨髄に存在しているグルコサミン(健康食品で有名)が、線虫と老齢のマウスの寿命を延ばすことが明らかになった。これにより、人間の健康寿命を延ばす可能性があると研究者達は考えている。

-Glucosamine supplementation extends life span of nematodes and of ageing mice
引用元: D-Glucosamine supplementation extends life span of nematodes and of ageing mice : Nature Communications : Nature Publishing Group.

古式太極拳に伝わる易骨行は、まさに骨の髄を鍛え上げていくということで、仙人のように不老長寿を目指すというものであり、健康な骨や骨髄には正常なグルコサミンが多く存在することになり、この研究によって科学的にも立証される可能性が大いに高まった。

古式太極拳に伝わる易骨行は、套路における歩法や行気という経絡と経穴の使い方、自然な力を内筋を使って発する方法(発勁)などを駆使している。

易骨行

書籍《簡化24式太極拳で骨の髄まで練り上げる技法》から抜粋。

易骨行・・気が宿る骨髄を練り上げる技法
骨は命を終えても最後まで残る人体です。太極拳では、易骨(えっこつ)といって、勁(けい)や勢(せい)によって骨を鍛えていく修練を行います。太極拳は骨と筋を使って動くということがわかるようになると、年をとっても骨と筋だけで、十分な勢(せい)を保つことができます。「叩歯鳴鼓(こうしめいこ)」などの坐道(ざどう)で、骨に気と勁(けい)が伝わる感覚をわかりやすく身につける事ができます。(基本技法「八段錦の叩歯鳴鼓」参照)
(けい)や勢(せい)を無くして、ただバランスを司る筋肉(バランス筋)をなどを鎧(よろい)のように育てても、年齢を増すごとに衰えていき、その鎧(よろい)が取れれば、身体にはやせ衰えた骨と筋が残ります。ですので、太極拳の考え方では、最初から骨と最低限の筋を維持することを修練します。易筋(えっきん)、易骨(えっこつ)です。
筋肉を鍛えるのも大事ですが、なぜ筋肉を鍛えるかによります。太極拳の場合は、その肉の内にある骨と筋を強化し、肉を離していく(依存しない)という思想に基づきます。巷では、筋力アップが骨折予防に良いとし、太極拳を取り上げている情報が多いようです。しかし、太極拳でバランス筋などの筋力アップだけをはかり、骨を守るという考え方は本末転倒です。なぜなら、筋力が衰えた頃に、守られ続けた骨は耐えることができませんし、骨自体が刺激から守られるため、その役目を放棄します。したがって脆(もろ)くなるのです。
太極拳の易骨(えっこつ)は、どんどんと骨に振動と勢(せい)を与え続けます。いつも、骨は刺激にさらされています。その骨に刺激を伝えるのは、歩法(ほほう)や腰腿(ようたい)(基本技法「腰腿」参照)、沾粘(てんねん)(けい)(基本技法「?手(すわいしゅ)・沾粘勁」参照)や纒糸勁(てんしけい)(基本技法「?手(すわいしゅ)・纏糸勁」参照)、その他の勁(けい)や勢(せい)です。太極拳を練り上げていく中で、骨に刺激を与え続けます。すると、気は骨髄(こつずい)に宿り、套路(とうろ)でも骨身にしみる感覚を体験します。そして、骨を自由に無理なく動かすための、バネのような筋を育てていきます。これが易筋(えっきん)です。
骨と筋ばかりの人間になっても、使えるのが太極拳です。そして、そのようになっても、健康を維持できるのが人間の先天(せんてん)です。赤ん坊には力のある肉はありません。しかし弾みの筋と、髄を生かす骨はあります。年をとっても、骨と筋を健康に保つことが大切です。
人間の骨は、適度に刺激を与え続けていると、その都度必要な成分を保持し、自らを強化していき、大事に備えます。その基本原理を忘れて、単純に筋力を強化しても、逆作用になります。
太極拳はバランス筋を鍛えますが、危険範囲を超えないセーフゾーンでしか動かない太極拳は、以上のような反作用にも目を向けるべきでしょう。